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  3. 先に土地を購入する場合、住宅ローンの申込はできる?

ローン自体は借りられるが…

注文住宅を建てる場合、先に土地を購入することになりますが、そのためにローンを組むことはできます。ただし、将来家を建てる前提で、先に土地を購入するときに限り家の完成時に住宅ローンが使えます。

つまり、土地の購入から住宅の建築までの期間が長引けば、その間は土地だけのローンを支払わなければなりません。土地についてのローンとしては、次のような融資があります。

土地の購入にもローンは利用できる

注文住宅を土地の購入から検討する場合、先に土地を購入する必要があります。

住宅ローンは原則、建物の建築費用に対して使える融資であり、土地の購入費用のみに使うことはできません。
ただし、その土地に将来家を建てることが前提であれば、土地の購入費用を含めて受けられる融資があります。

今回は、土地の購入に活用できる融資についてご説明します。

「土地先行融資」と「つなぎ融資」

家を建てる前提で土地を購入する場合に使えるローンには、主に二つあります。一つが「土地先行融資」、もう一つが「つなぎ融資」です。なお、ともに扱っていない金融機関もあるため、検討される場合は事前に確認しておく必要があります。

土地先行融資とは

土地先行融資とは、文字通り、注文住宅を建てる土地の購入費用を先行して受けられる融資のことです。
その土地に家を建てることが融資条件の一つとなっており、土地に抵当権を設定したうえで土地代の融資が実行されます。
そして建物が完成したら、建築費用の融資を追加する形になります。

一般的な住宅ローンと同様に、借り入れの際には金融機関の審査を受けることになりますが、土地先行融資では土地・建物につき一括で審査されます。
そのため、土地に関する資料だけでなく、建築する建物プランの資料も同時に揃える必要があります。

つなぎ融資とは?

つなぎ融資とは、住宅ローンの融資開始までに必要なお金を、金融機関が一時的に立て替えて借り入れできる融資のことです。
住宅ローンとは別の短期融資になるため、土地の購入費用だけでなく着工金や中間金の支払いにも、つなぎ融資が使えます。
融資の実行は建物が完成した後ですが、その間は、つなぎ融資の利子や諸費用を支払う必要があります。

審査は土地先行融資と同様に一括で行われますが、契約は土地と建物に分けて行うのが一般的のため、金融機関のなかには建物の資料は概要のみでも借り入れできる場合があります。

土地先行融資・つなぎ融資のメリット

どちらも一見すると同じような融資にみえますが、それぞれには特徴があり利用者のメリットも異なります。
融資実行後に享受するメリットもありますので、それぞれの特徴をしっかり把握したうえで選ぶことが大切です。
土地先行融資とつなぎ融資のそれぞれのメリットを紹介します。

土地先行融資のメリット

土地先行融資のメリットの一つは、つなぎ融資と比べて金利が低いことが挙げられます。
土地先行融資は土地に抵当権を設定しますが、つなぎ融資は基本的に設定する必要がなく、いわば無担保ローンになります。
このため、つなぎ融資の方が金利は高く設定されるのです。

また、つなぎ融資は住宅ローン控除が受けられませんが、土地先行融資は諸条件を満たすことで住宅ローン控除が受けられます。
住宅ローン控除とは、所得税や住民税からローン残高に応じて一定額が控除される制度です。
土地先行融資を利用して住宅ローン控除が受けられるなら、住み始めてからの生活にゆとりが生まれることも期待できそうです。

つなぎ融資のメリット

無担保で融資が受けられることが、つなぎ融資の一番のメリットでしょう。
土地先行融資の場合、土地と建物それぞれに抵当権を設定する作業が生じるため、その諸費用が必要です。
つなぎ融資なら、この諸費用は住宅ローンの実行時のみの一回ですから不要です。金利は高いものの、頭金が少ない方にとって強い味方になってくれるでしょう。

また、土地先行融資は土地の購入費用のみに使う融資に対し、つなぎ融資は土地だけでなく建物の着工金や中間金など複数回にわけて利用することが可能です。
利用回数は金融機関によって異なりますが、これも頭金が少ない方には有効です。

融資額が決まるポイント。土地の評価額とは?

土地先行融資とつなぎ融資、いずれの場合でも土地や建物の評価額が融資額を決めるポイントの一つになります。
ここからは、土地の評価額がどのように算出されるのかをみていきましょう。
土地の評価額の基準になる要素には、以下の五つがカギになります。

・公示地価
・基準地価
・路線価
・固定資産税評価額
・類似物件の取引事例

土地の評価額のポイント:公示地価

公示地価は、国土交通省が年一回公示する土地評価です。
評価は不動産鑑定士という国家資格を持った人が行い、精度の高い評価額が示されることが特徴。金融機関でも、参考指標にしています。

なお、公示される土地は、都市計画法で定められた地域のみで、地方などでは評価額が示されないところもあります。

土地の評価額のポイント:基準地価

基準地価は、都道府県が公表する土地評価です。
評価方法は公示地価とほぼ同じですが、公示地価と異なり都市計画の対象外エリアも評価額を公表しています。
公示地価では示されていない地域を評価する際に、金融機関が指標とする基準です。

土地の評価額のポイント:路線価

東京・銀座の1平方メートルあたりの評価額がいくらといったニュースでもおなじみの土地評価で、国税庁が毎年公表します。
路線価は主に相続税を算出する際に用いられ、課税基準の一つにもなります。金融機関でも土地の評価額を算出する際に重視しますが、一般的には安く示され、公示地価の80%程度の数値になることが多いようです。

土地の評価額のポイント:固定資産税評価額

文字通り、固定資産税を決める際に使われる土地評価です。
評価基準は国が定めますが、最終的な評価額は市町村が決めています。
路線価と同じく、一般的には安く示されており、公示地価の70%程度の数値になるケースが多いようです。

また、固定資産税評価額は3年に1度しか示されません。
新興住宅地のように地価の上昇が著しい地域では参考にならず、金融機関でも評価額の算出に使うケースはほとんどみられないようです。

土地の評価額のポイント:類似物件の取引事例

購入する物件の近隣や、似たような条件の土地の取引事例をもとに算出する土地評価です。
主に不動産会社で売買価格を決める際に使われます。

ただし、売買価格は売主の希望などによっても異なるため公平性に欠ける点もあります。
このため、金融機関では参考程度にみるケースが大半です。

土地についてのローンの注意点

土地先行融資とつなぎ融資、いずれの場合も利用する際には土地の資料だけでなく建築プランの資料も求められます。
このため、土地の購入と建築プランの作成は同時進行で進める必要があります。

また、つなぎ融資の場合は住宅ローンが実行されるまで利息分の支払いが生じます。
家の着工や完成が遅れると、その分、高い金利の支払いが生じることも注意点の一つです。

費用を少しでも抑えるには、土地を購入したらできるだけ早く着工すること。
つまり、土地の購入と建築プランの作成は同時に進め、借り入れる際には建築プランをしっかり練り上げておくことが大切です。
目当ての土地を見つけたら、まず施工会社にプランニングと見積もりを依頼し、その後に土地の購入を検討するという流れがベターです。

まとめ

注文住宅は分譲住宅と異なり、土地購入と建物建築という二つの工程があります。
まず土地を購入して、その後に建築プランをじっくり検討しようとすれば、思わぬ出費がかさむ場合もあり、場合によっては予算の都合で実現できないことが出てくるかもしれません。

目当ての土地を早く購入したいと思う気持ちもわかりますが、それより先に資金計画をしっかり立て、無理のない返済ができることを確認する方が大切です。
「資金計画の立て方がわからない」「住宅ローンについて心配がある」という方は、当社でもお手伝いさせていただきますので、ぜひご相談ください。