1. トップページ > 
  2. 住まいの豆知識 > 
  3. 住宅ローンの繰り上げ返済は行ったほうが良い?繰り上げ返済のメリット・デメリットとは

住宅ローンの繰り上げ返済は行ったほうが良い?繰り上げ返済のメリット・デメリットとは

住宅ローンの金利返済を抑えたり、返済期間を短くしたりするのに有効な「繰り上げ返済」。
とはいえ、繰り上げ返済にはいくつかの方法があり、その選択や実行するタイミングによっては、想定していた効果を見込めない場合があります。

住宅ローンの負担軽減策である繰り上げ返済ですが、メリットだけでなくデメリットもあります。
繰り上げ返済に関してはメリットばかり宣伝されていますが、デメリットもあることを十分に理解しましょう。

どの方法で、いつ返済すれば効果を最大化できるのか、今回は繰り上げ返済の種類やタイミングの見極め方を中心に解説します。

繰り上げ返済とは?

繰り上げ返済とは、まとまった資金ができたときに、毎月の返済とは別に支払うことで元金(借入金)を減らす返済方法です。
元金が減ることによって利息も減るため総支払額を減らして、返済期間を短くすることができます。

繰り上げ返済は早い段階で返済すると効果が大きくなります。
たとえば、20年目よりも10年目に、10年目よりも5年目に繰り上げ返済した方が、返済額を多く減らすことが可能です。

繰り上げ返済の「返済期間短縮型」「返済額軽減型」

繰り上げ返済には、
・返済期間を短縮する「返済期間短縮型」
・月々の返済額を抑える「返済額軽減型」
の2つの種類があります。

返済額を大きく減らせる「返済期間短縮型」

毎月の返済額は変えず、完済を前倒しする繰り上げ返済です。

分かりやすく簡略化しますが、返済額が1200万円で10年返済の場合には毎月12万円の返済です。
このときに繰り上げ返済で120万円を返済すると毎月の返済額は12万円から変わりませんが、1年間返済期間が短くなります。
実際には金利も入ってきますから、借入期間が短くなる分、その間の利息分を安くすることができます。

「返済期間短縮型」のメリット

返済期間短縮型のメリットは利息分の支払額を大きく削減できること。
完済までの支払総額を大きく削減することができます。

「返済期間短縮型」のデメリット

返済期間短縮型のデメリットは繰り上げ返済の額が少ないと効果が薄いということです。
繰り上げ返済の支払額が少なければ削減できる利息分も少なくなってしまいます。
また、一時的に出費が発生することになりますが、月々の支払い自体は変わらず、完済までの金銭的余裕は変わりません。

毎月の返済が楽になる「返済額軽減型」

返済期間を変えず、毎月の返済額を少なくする繰り上げ返済です。
こちらは毎月の返済額の減少に繋がりますので、家計への負担軽減はすぐに感じることができるでしょう。

分かりやすくするために利息関連は簡略化しますが、返済額が1200万円で10年返済の場合には毎月12万円の返済です。
このときに繰り上げ返済で120万円を返済すると10年で1080万円の返済になります。
そうなると、毎月の返済額は12万円から9万円になるといったイメージです。

「返済額軽減型」のメリット

返済額軽減型のメリットはなんといっても毎月の返済額が減ることによる生活の負担軽減でしょう。繰り上げ返済では一時的に多くの出費が発生しますので、生活の余裕が生まれる返済額軽減型はその助けにもなります。

「返済額軽減型」のデメリット

こちらのデメリットは強いて言うなら利息分の大幅カットにはつながらないこと。
毎月の返済の軽減にはなりますが、総返済額は返済期間短縮型と比べて多くなってしまいます。

返済期間短縮型と返済額軽減型、それぞれどんな人に向いている?

それぞれの返済方法にメリットデメリットが存在しますので、個人の考え方や家計状況などによって向き不向きは変わってきます。

返済期間短縮型に向いている人

少しでも早く住宅ローンを完済させたい方は返済期間短縮型を選択しましょう。
・定年後もローンの支払いが続く予定
・早めに完済して老後の資金を蓄えたい
といったような場合に選ぶ方が多いです。

返済額軽減型に向いている人

現状の経済的負担を軽くしたい方は返済額軽減型がおすすめです。

・子どもの教育費
・親の介護費
・転職での収入の変動
といったような変化によって家計を見直す必要が出てくるでしょう。

住宅ローンの支払いは、毎月の支出の中でも大きな割合を占めていますので、経済的負担の削減には大きく役立ちます。

繰り上げ返済を行う上手なタイミング

繰り上げ返済は、返済を行うタイミングも重要なポイントです。
特に、ローンが実行されてから10年以内に返済すると、利息分の削減効果が大きくなるといわれます。

具体的なケースで見ていきましょう。

3000万円の住宅ローンを借り入れ10年目と30年目で繰り上げ返済した場合の比較

借入額:3000万円
繰り上げ返済額:100万円
金利:固定金利で2.0%
返済期間:35年
※繰り上げ返済なしの場合の総返済額:4,174万円

10年目に繰り上げ返済 30年目に繰り上げ返済
総返済額 約4,113万円 約4,164万円
削減できる利息 約61万円 約10万円

このように、早い段階で繰り上げ返済を実施することで50万円以上の利息を減らせることがわかります。

繰り上げ返済をまとめてする場合とこまめにする場合の比較

繰り上げ返済をしたいけどまとめて多額の返済は難しいという場合、少額でこまめに返済する方法もあります。
この二つを比較すると、どちらがお得になるのでしょうか。

借入額:3,000万円
繰り上げ返済額:500万円
金利:固定金利で1.4%
返済期間:35年と
※繰り上げ返済なしの場合の総返済額: 3,797万円

毎年100万円繰り上げ返済 5年後に500万円繰り上げ返済
総返済額 約3,545万円 約3,570万円
削減できる利息 約252万円 約227万円

このように、毎年こまめに返済した方が利息削減効果は大きくなります。

ただし、こまめに返済する場合の注意点として、繰り上げ返済の手数料には注意しましょう。
金融機関によっては繰り上げ返済に手数料を設けているところもあり、1回あたり3万円程度の手数料がかかるところもあります。
その場合、こまめに返済することがかえって支払額を増やす可能性もあります。

繰り上げ返済をする際の注意点

前述した繰り上げ返済の手数料以外にも知っておきたい注意点があります。

住宅ローン控除の節税額と比較しよう

先のシミュレーションで、繰り上げ返済はローン実行から早い段階で、できれば10年以内に行うと利息の削減効果が大きくなることが分かったかと思います。
しかし、ローン実行から10年は住宅ローン控除が適用されている時期です。
※2020年12月末までに入居している場合は控除期間が最長13年に延長

住宅ローン控除は、ローン残高の1%分を所得税から控除されるしくみです。
そのため、繰り上げ返済を行うことでローン残高が減少すると住宅ローン控除の控除額も減少します。
どちらがお得になるのかはしっかりと確認した上で繰り上げ返済を行う必要があります。

繰り上げ返済額は余裕を持った額にしよう

まとまった資金ができて全額繰り上げ返済に使ってしまうということも注意ポイントです。

急な事故や病気による出費、子供の教育費の増加、転職などによる収入の変動といったような場合に対応できるような余裕は必要です。
繰り上げ返済を行った後にこういったことが起こってもゆとりを持った生活ができるように設定をしましょう。

まとめ

繰り上げ返済の削減効果は、借入状況や繰り上げ返済額、繰り上げ返済のタイミングなど様々な条件によって大きく異なります。
何も考えずに繰り上げ返済をすればお得になるというわけでもなく、手数料の高い金融機関で何度も繰り上げ返済をするなら、手数料が無料で金利の低い金融機関に借り換えた方がお得になるといったようなこともあるでしょう。

繰り上げ返済をした方が良いかどうかで迷っている方は、「家計収支改善相談」にて、専門家がアドバイスをさせていただきますので、お気軽にご連絡ください。